case01
以前記事を書いたリフォームの竣工写真が来ました。
長い記事になりますが、少し詳しく予算や条件、デザインポイントを書きたいと思います。
□条件
工事個所///浴室、洗面所、トイレ
予算///100万円
施主要望///収納多く。
□洗面台
洗面所は洗面台を造作。形を洗面器に合わせてクランクさせ凹みのような空間をつくっています。人の意識として凹んだ部分に身体が納まると、自分だけの空間が生まれ身支度やお化粧などに集中できるようになること、又凹をつくることで脱衣スペースに広がりが生まれ、身支度を整えている人、洗濯をする人と共存するゆとりが生まれました。
洗面器の脇の棚は真鍮のパイプを棚板に通してます。
これは茶室や、茶会で使う道具などを置く裏方スペースの水屋の吊棚に竹を使っていてるのをデザインのヒントに、竹を真鍮パイプに変えモダンなイメージにしました。
(写真は慈光院の水屋)
また、マンション販売図面を詳しく見ると洗面室の防水パンに隣接するPSを広く取っていることがわかりました。PSの壁を撤去すると費用もかかるため、壁に穴をあけて収納の箱を埋め込み収納量をアップ。
壁や天井は、施主による漆喰系塗料。床はPタイルです。
照明はダウンライトと、作業用に机のデスクライトを壁付けしました。デスクライトの照明はトグルスイッチ(写真では小さいですが右側の壁についています)。
□トイレ
便器交換。タオルバー等金物も交換。すべて白で揃えて、明るく清潔感を出そうと考えました。
□浴室
写真はありませんが、設計者が浴室を設計する時にどう考えているかを記述しておきます。浴室はユニットバスを選択しました。浴室を設計する時に三つの選択肢があります。
1在来(オリジナルの浴室)
2ハーフユニット(腰から下が既製品、腰上と天井がオリジナル)
3ユニットバス(既製品)
マンションの場合、管理規約から浴室の仕様が決められており、ハーフユニットかユニットバスがほとんどで在来は不可のところも多いです。ここのマンションも在来不可で、ハーフユニットはOKでした。
せっかくならば少しでも気持ちのいいお風呂と思いハーフユニットにして壁は檜の板張りにしたいと考えましたが、戸建と異なり浴室に窓が無く換気に不安が残りました。またハーフユニット自体は高くなく、桧の板も決して高価ではないのですが、板を張る大工さんの人工代と浴室への建具も作る必要があるため、結果ユニットバスより15万ほど高くなり諦めることになりました。
ユニットバスは既製品になるため私たちができることはカタログをお施主さんに渡して、選び方を説明して終わりです。工期短縮と費用面からいくと有利ではありますが、自然素材でないため使っていけばただ古くなるだけなので、設計者としては在来かハーフユニットをお勧めしたいところですね。
最近はユニットバスもデザインとか壁パネルの質感も向上してますが、そういったモデルは上位グレードであることが多く、そうなると掛け率が悪く見積を取ると在来で本物で作ったほうが安いことが多いです。そもそも質感が上がったとはいえ所詮偽物ですし。
(ということでユニットバスは私たちが設計したわけではないので写真を撮りません)
最後に...
建築家の仕事としてはこういう業務は規模も小さいですし、派手なものではないです。ただし、洗面台の形を変えることで空間を広く感じさせたり、選ぶ金物で統一感を出すのはプロである私たちしか出せないと考えると、建築家の職能としてはとてもやりがいを感じました。
今回は築20年の集合住宅で、築20年も経てば設備も古くなり交換の時期でもあり、また一般論として家族の成長でお子さんが家を出て間取りを変えたい、クロスも古びてきた、使いずらい部分を変えたい、など細かい要望があると思います。
恐らくこういう要望に対して住人としてはわざわざ建築家に頼むほどではないと考えるのではないでしょうか。このようなリフォームでもいろいろなアイデアの引き出しを私たちは持っているので、今後リフォーム専門のプロジェクトを立ち上げようと考えています。
yhonda
photo by kazunari fujimoto
床仕上げ
床の左官が始まりました。
床は壁と同じ土の搔き落としですが、人が歩くことを考えてセメント多め。そして色は落ち着いた黒を目指します。
色は黒に群青と朱色をまぜます。そうすることで色に深みが出るみたいです。また同じ黒でも入り口から奥にかけてグラデーションにしたら面白いかもと提案され、お願いすることに。
先ほどの色の粉と土やセメント等々混ぜます。
ただ実際この段階ではどうグラデーションになるかわかりません。。。
実際に仕上げてもらった部分を見てもまだよくわかりません。。。
まあ完成のお楽しみですね。
今回初めて内部床を左官で仕上げたのですが、床の仕上は一般的にフローリング、タイル、石、カーペットがメインで左官仕上げは選択肢にありませんでした。
住宅でもやってみたいなと妄想が始まりそうです。
yhonda
土壁
土壁ができました。今回の仕上げは土壁の搔き落とし。土に石灰やセメントも入れてます。
道路に対して斜めに角度をつけた壁に以前記事で書いたように壁と同じ土でお店の名前をつくりました。
写真はお店のロゴをデザインしたイラストレーターさんが土を掘ってサインを作る様子。土壁と格闘してました。笑
あとは床も色や配合、骨材を入れこちらも土の搔き落としにします。
それにしてもやはり左官はいいですね。
クロスだと張っておしまいですが左官は下塗り、本番はネタを現場で作って、コテで仕上げる、更に今回はブラシで搔き落とす。これだけ人の手が入ってるからか、愛着が湧きます。なんだか無性に壁に頬擦りしたくなります。笑
yhonda
模様替え、或いはリフォーム
先日、知人夫婦から水廻りだけリフォームしてほしいと依頼がありました。
お風呂、洗面所、トイレと言った水廻りだけで、間取りには手をつけないためリノベーションというよりは模様替えやリフォームの範疇にあたる工事になります。
普通はリフォームで私たち建築家やデザイナーが参加する機会がなく、またデザイン業界からは『リフォーム?そんな小さな工事は業者に任せな』といったある種自分たちがやる仕事ではないという風潮がある中、今回初めてリフォームをデザインさせてもらったのですが、リノベーションとは異なる別のやりがいや意義みたいなのを感じた仕事になりました。
マンションなら築15年も経てば設備の交換時期ですし、家族の成長に合わせて少し間取りを変更したい、或いはもっとシンプルに壁紙交換したい、ペットがぼろぼろにした部分を直したい、ちょっとした棚などつけたい、など生活していれば当然そういう要望って有ると思うんですよね。ただ費用もかかるし、面倒など色々理由があって行わないのでその辺りを設計者が加わることで色々な提案ができるのではないかと考えたのです。
その辺りの思いは、今回カメラマンに写真を撮ってもらいましたので、写真が出来上がり次第、改めて記事を書きたいと思います。
yhonda
古民家鑑定士を受験します!
今月、古民家鑑定士を受験予定です。
このブログではまだ紹介してませんが、今年築70年近い住宅のリノベーションを行いました。
この工事をお願いした工務店が古民家協会に加入されていて、古民家について、協会の活動について等々色々と教えてもらいました。
元々私は茶室や数寄屋建築に興味を持ち建築の道に来たので、入らないわけがありません。古民家鑑定士を持ったからといって何かメリットがあるわけではなく、上記の協会に加盟しないと資格を持つ意味がなさそうです。ただこの会員費用が6万/年なので経費が痛い...
ただ、この鑑定士に受からないことには会員になれないので、まずは合格を目指して頑張ります。
yhonda