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以前記事を書いたリフォームの竣工写真が来ました。

 長い記事になりますが、少し詳しく予算や条件、デザインポイントを書きたいと思います。

 

□条件

工事個所///浴室、洗面所、トイレ

予算///100万円

施主要望///収納多く。

 

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□洗面台

 

洗面所は洗面台を造作。形を洗面器に合わせてクランクさせ凹みのような空間をつくっています。人の意識として凹んだ部分に身体が納まると、自分だけの空間が生まれ身支度やお化粧などに集中できるようになること、又凹をつくることで脱衣スペースに広がりが生まれ、身支度を整えている人、洗濯をする人と共存するゆとりが生まれました。

 

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洗面器の脇の棚は真鍮のパイプを棚板に通してます。

これは茶室や、茶会で使う道具などを置く裏方スペースの水屋の吊棚に竹を使っていてるのをデザインのヒントに、竹を真鍮パイプに変えモダンなイメージにしました。

 

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(写真は慈光院の水屋)

また、マンション販売図面を詳しく見ると洗面室の防水パンに隣接するPSを広く取っていることがわかりました。PSの壁を撤去すると費用もかかるため、壁に穴をあけて収納の箱を埋め込み収納量をアップ。

 

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壁や天井は、施主による漆喰系塗料。床はPタイルです。 

照明はダウンライトと、作業用に机のデスクライトを壁付けしました。デスクライトの照明はトグルスイッチ(写真では小さいですが右側の壁についています)。

 

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□トイレ

便器交換。タオルバー等金物も交換。すべて白で揃えて、明るく清潔感を出そうと考えました。

 

□浴室

写真はありませんが、設計者が浴室を設計する時にどう考えているかを記述しておきます。浴室はユニットバスを選択しました。浴室を設計する時に三つの選択肢があります。

1在来(オリジナルの浴室)

2ハーフユニット(腰から下が既製品、腰上と天井がオリジナル)

3ユニットバス(既製品)

マンションの場合、管理規約から浴室の仕様が決められており、ハーフユニットかユニットバスがほとんどで在来は不可のところも多いです。ここのマンションも在来不可で、ハーフユニットはOKでした。

せっかくならば少しでも気持ちのいいお風呂と思いハーフユニットにして壁は檜の板張りにしたいと考えましたが、戸建と異なり浴室に窓が無く換気に不安が残りました。またハーフユニット自体は高くなく、桧の板も決して高価ではないのですが、板を張る大工さんの人工代と浴室への建具も作る必要があるため、結果ユニットバスより15万ほど高くなり諦めることになりました。

ユニットバスは既製品になるため私たちができることはカタログをお施主さんに渡して、選び方を説明して終わりです。工期短縮と費用面からいくと有利ではありますが、自然素材でないため使っていけばただ古くなるだけなので、設計者としては在来かハーフユニットをお勧めしたいところですね。

最近はユニットバスもデザインとか壁パネルの質感も向上してますが、そういったモデルは上位グレードであることが多く、そうなると掛け率が悪く見積を取ると在来で本物で作ったほうが安いことが多いです。そもそも質感が上がったとはいえ所詮偽物ですし。

(ということでユニットバスは私たちが設計したわけではないので写真を撮りません)

 

 

 

 最後に...

建築家の仕事としてはこういう業務は規模も小さいですし、派手なものではないです。ただし、洗面台の形を変えることで空間を広く感じさせたり、選ぶ金物で統一感を出すのはプロである私たちしか出せないと考えると、建築家の職能としてはとてもやりがいを感じました。

 

今回は築20年の集合住宅で、築20年も経てば設備も古くなり交換の時期でもあり、また一般論として家族の成長でお子さんが家を出て間取りを変えたい、クロスも古びてきた、使いずらい部分を変えたい、など細かい要望があると思います。

 

恐らくこういう要望に対して住人としてはわざわざ建築家に頼むほどではないと考えるのではないでしょうか。このようなリフォームでもいろいろなアイデアの引き出しを私たちは持っているので、今後リフォーム専門のプロジェクトを立ち上げようと考えています。

 

yhonda

photo by kazunari fujimoto